”福業”座談会〜名嘉あづさ×林先生×ノンビン〜vol.2

前回は、なぜ福業を始めることになったのか?福業を息抜きや趣味だけで終わらせず、「会社」として動かしている理由は?などをお話してもらいました。
今回は福業って実際ハード?本業からどうやって理解を得たの?など、より気になる部分を本音トーク!
3名のゲスト紹介と、vol.1の様子はこちら。
ライスワークは辛い?福業なら幸せ?

私はずっと疑問に感じていることがあるんですが、ライスワーク(所謂、生活のための仕事)と福業(ライフワーク)は分かれるものでしょうか?
ライスワークがあるから、福業できるのか?福業だけで生きていけないのかな?と思うんですが。
こんなこと言っていいのかな(笑)僕は、生きてるというか「生かしてもらってる」って思ってて。
そもそも今ジョイゾーで、かつて自分が衝撃を受けたkintoneの開発に携われていて、しかも新潟に家族と暮らしながらリモートワークでそれができていて。だからエンジニアとしてもすごく楽しい、”福業”だと思っているんです。楽しいことが仕事になっているから。
ただ、SIの会社なので缶蹴りは仕事にできないから(笑)ノンビンビーンをやっている。

ジョイゾーの給料は奥さんだけが知る口座に入るので、実は僕は自分の給料を知らないんです。お小遣いの上限でしか、わからない(笑)
自分は楽しく働いてるだけで、お金は家族がうまくやりくりしてくれていて。だから生きるために働いてるっていうのと自分は結びつかないですね。

そっか。ジョイゾーではできないことをノンビンビーンでやってる。いろんなところで場を持つというか、軸ごとの顔を持つと思えばいいんですね。
ライスワークと表現すると、生きるためにやるような感じになってしまうけど。
結果的には、生きる為には働かないといけないんでライスワークみたいな要素もあるのかもしれないけど。
私も、大塚商会の業務も、はやし総合支援事務所の業務も、ライスワークだと意識はしていない。どんな仕事にも楽しさはあると思うんです。それを見出せないと「生きるために働いてる」だけになってしまう。
例えば、社労士の書類作成って普通に考えたら楽しくないんだけど(笑)うちの場合はクラウド事務所なので書類も電子。今まで紙だったものを、電子化するにはどうするのか?って仕組みを考えるフェーズをみんな楽しんでやっています。


なるほど。どんな仕事も、今自分は何が楽しくてやっているのか?と刻み込むように見ていく必要がありますね。
楽しいを見つけるアンテナはどうやって磨けるんですか?
どうせ同じ時間を過ごすなら楽しい方がいいな、とは常に思ってますけどね〜

2つの視点を持っていて。
誰もやってないものを見つけたい、という視点と
日々を過ごす中で「過去に戻れたらどうする?」とは考えない視点。今に100%を注いでいく。


常に今に全力なんですね。
ハードワークはどう乗り切る?

とはいえ、いくら楽しいとか好きなことでも、実際ハードワークなのでは?と思うんですが。
私自身、今いろんなやりたいこともあってどんどん手をあげて参加してたらスケジュールがパンパンになってしまっていて(笑)
(二人同時)
言われてみれば確かにハードかも・・・?(笑)
でも僕は、営業時間を設けたんです。
平日昼間はジョイゾーで仕事する。
一度家族とご飯を食べたり、お風呂に子どもを入れたり寝かしつけをして、その後の21:00〜2:00までがノンビンビーンの時間。プラス土日は、イベントがあれば時間を使ったりなど。
ノンビンビーンでは、「平日の昼間に働かない社長になろう」と思ったんです。

僕は朝5:00に起きて、大塚商会での始業開始までは自分の仕事の時間。
量やスケジュールで判断するとハードになるかもしれないけど、モチベーションは辛くないんですけね。

辛くはないけど、たまに気づくと寝てる時はありますよ(笑)そんな時は「もう今日はやめよ」と思ってやめる時もあります。

月に一回夫婦で温泉旅行にいくんですけど、宿の部屋で思わずパソコンで自分の仕事しちゃう時もあったり。奥さんも税理士の勉強してたりして(笑)


え〜!それが私はまだ出来なくて。以前、ハワイ旅行にプライベートで行った時に仕事のSlack通知が止まらなくて、気になって遊びの合間に確認する、みたいなことがあったんです。ハワイに遊びに行ったはずなのに、すごい疲れて帰った思い出があります(笑)
マルチワークやる上で絶対必要なスキルとしては、「〜〜しながら〜〜する」みたいなことができるようになることですかね。1つのことだけに集中しないとできない!という状態だと、こういう生活は難しいかも。
でもそれってすごい難しいことではなくて、テレビ見ながらご飯食べてるような感じで、実はみんなできることだと思うんです。

ある日突然できる、というより、自然に身についていくことなのでまずはやってみるのがいいかもしれません。

本業と福業の付き合い方。リモートワークや自由な就業は絶対必要か?

限られた時間の中で両立していくためには本業である程度自由に働ける、柔軟に時間をコントロールできるというのが条件かなと思うんですが。
その中でもリモートワークは条件として重要ですか?
僕は本業の大塚商会での時間は、基本的に自分の仕事は出来ません。
でも、はやし総合支援事務所のお客さん対応もある、やらなくてはいけない処理もある、と必要に迫られて自分の会社の方をどこにいても仕事ができるような「クラウド型の事務所にした」という感じですかね。

ジョイゾーは自由度が高いですね。でもこうやって僕がノンビンビーンを自由に出来ているのって、ジョイゾー側の理解と覚悟があって。というのも従業員を縛ることなく働かせてくれるってある意味絶対の信頼だと思うんです。

リモートワークって働く人にメリットがあるような言われ方をよく見かけるんですけど、実際は管理側のメリットも大きいんじゃないかと思っていて。例えば今まで10人の仕事をつきっきりでチェックしていた時間が削減できるとか。
そのメリットを理解してリモートを導入してくれる人は、アウトプットのチェックポイントをきちんと設けて、作る過程までは細かく見ないし、しの分離れたところからのコミュニケーションもきちんと取ってくれる。
林先生ははやし総合支援事務所で、管理者としてそれをやってる訳じゃないですか。
相当な覚悟と理解を持って、クラウド型の事務所という形を作られてるんだなぁと思いますね。


リモートワークって両輪があって、働く側も管理側も双方に覚悟や目的があるんですね。
そんな中で、本職によっては、どうしても会社が変わってくれないと福業出来ない人もいっぱいいるだろうなと思うんですが。
僕なんかは、本職の大塚商会はかなりやりづらい方だと思います(笑)
でもバス停を1ミリずつ動かしていくような、地道な努力を重ねて。
自然と「そういえば林さんこれ詳しいですよね?」ってみんなが声かけてくれるようになって。

副業するとその瞬間、絶対自分にしかわからない世界が出来上がるんです、周りの人からは見えない・わからない世界が。知られていないことは、評価もしてもらえないし。
始めた当初は孤独に感じるかもしれない。
でも徐々に人間て慣れるんで(笑)最初は、例えば「福業のために週に1日休みもらいます」と言い出した自分に驚いていた周りも、だんだんそれが当たり前になっていくし。

”会社を変える”と言うと、上司の説得や、会社自体の制度を変えるような、すごく大変なことを想像してしまいがちですけど。まずは小さなことから始めていつの間にか圧倒的な存在になっているのがいいのかもしれない。社内のポジションで兼業(福業)してみるとか。
だんだん、会社にも福業によって利益がもたらされるようになるとか。
僕も大塚商会の中ではエンジニアなのに、社労士業務の相談されたりします。そう言う時は「別料金だよ?(笑)」みたいな。


あはは(笑)でもそれ大事だと思っていて。全部イエスと言って便利屋みたいになると違うかなと。そうやって自分を確立していくというか。
”働き方改革”って今たくさん言われてますけど、歪んだ伝わり方をしているなと思っていて。
ただリモートワークすればいいとか、そういう話じゃないと思うんですよ。
「リモートワークができるからこの会社に入ろう!」となるのは、本当は違う。どんな会社でも働き方の選択肢がたくさんある状態が本当は働き方改革なんじゃないかなって。

自分がやりたいことが実現できる、魅力的な会社に入った時に「あなたはどんな働き方がいいですか?9ー17時がいいですか?リモートがいいですか?お給料がいっぱい欲しいから残業プランがいいですか?」みたいな(笑)
人によって合ってる働き方は違うから。選択肢が多い会社という意味ではジョイゾーは比較的多いかもしれないですね。

いいですね。選択肢が多いと、結局選ぶ方も自分の働き方についてよく考えるようになりますよね。自分で考える時間が増える。
なぜその生き方を選択したのか?

お二人は、今の考え方や働き方になった転機は何かあるんですか?
僕は小さい頃から嫌われ者だったんです。
落ち着きがなくて、周りがハラハラびっくりしちゃうような。よく怒られてたから、大人になるにつれて人に怒られないようにすごく顔色を伺うようになっていて。

社会人になっても、周りの顔色を伺いながらたくさん働いて、残業して。ある日、無茶な注文を受けた取引先で「星野くんは出世するよ!」と褒められたんです。その時に、「俺はあと40年先までこうやって生きてかなきゃいけないのか?」と思った。
それからですね、どうせ嫌われるなら、顔色伺って自分に無理してストレスためるより、好きなことやって怒られて嫌われる方がいいんじゃないかって。
好き勝手するには、やることやってそれなりに結果出さなきゃいけない。そう思ったら色々頑張れるようになったし、自分が楽しいことやっていきたいと思いました。

「右向け右」からいかに外れるかってすごく大事。勇気を出して自分の好きなことをやる道に進むというか。
私の場合は、大学を卒業してからずーっと大塚商会で働いてます。15年くらい。
でも在籍していながらも、「企業で働く」って全然自分に合っていないような気がしていて(笑)学生の頃からあんまりそういうビジョンもなくて、とりあえず社会に出て働いてみるか、というくらいで入ってそのまま今も働けているというか。
電車乗ってみんな同じことして、すごくない?って思ってたんですよね。
人生一度きりだから、自分が好きなことやりたいってそもそも思ってたタイプなのかもしれないですね。


すごい。私自身は前の会社で風土改革とかをやるようになって色んな働き方を知ったのをきっかけに疑問を持ち始めて。30才くらいで疑問を持ったんです。当たり前を疑うというか。
ふと思ったんですけど、それならなぜ、林さんはずっと本業の大塚商会で働き続けているんでしょうか?
そうなんですよ、確かに。色んな人から言われたりします(笑)
正直、収入面では困ってはいないんです、本業がなくなったとしても十分に福業の方で食べていけるくらい事業として成長しているので。
でも大塚商会での仕事も楽しいんです。もはやエンジニア業務だけじゃなくて、イベントで登壇したり新規事業立ち上げたり色んなことやらせてもらっているので。
他にこんな風に社内で働いてる人いないんです。いないから、辞められていないのもあるんです(笑)
まぁあとは相乗効果も生まれていますね。大塚のお客さんが私の顧問先になっていたり。


看板を借り合ったりしている感じなんですね。企業と個人の新しい形ですね。
これから”福業”を始めたい人へ。

では最後に。「福業したい、やりたいけど行動出来ない」という人の背中を押して欲しいと思います。
正直、今日のお話を聞いていても、最低限の収入の確保、会社や家族の理解など踏むステップが多くハードルが高いなぁとも感じるのですが。
うーん、ハードルが高いかぁ。
何かすごいことを想像しちゃってるのかなって僕は思います。あまりにもハイスコアな目標を考えているのでは?僕はドラム缶を売ってるだけなんです(笑)
会社作って従業員雇って・・・なんて考えなくていいと思います。自分がやりたいことを整理して、チェックポイントを作り、その最初の1つから取り組めば。どんな小さなことでもいいんです。
家族や会社の理解も最初からはいらないんです、やってるうちに必要なフェーズが出てくる。

まずは一歩踏み出そう、なんですけど、準備せずにいきなり一歩を踏み出したわけじゃない。1つ1つ整えていけば絶対に現状は変わります。逆に言えば100個も200個も課題があるわけじゃない。1年は365日あるから1日1個クリアするだけでかなり世界が変わると思いますよ。

福業によって少しずつ、自分らしい生き方や幸せへの道を見つけた3名。
”複数の顔を持つって大変そう。やってみたいけど自分には無理。”
そう感じている方の背中をそっと押してくれる座談会になりました。
自分らしい働き方は、たくさんあります。あくまでその中の1つの選択肢として、”福業”について理解を深めてみてもいいのかもしれません。
”福業”を実践する3名をもっと知りたい方はこちら。
各インタビュー記事
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【星野智久(ノンビン)氏 note ノンビンビーンができるまでの記録】
note ――つくる、つながる、とどける。
【各インタビュー記事】
熱い漢。新潟のkintoneエバンジェリスト紹介
編集者

お寺在住のライター・編集者。本と映画と旅、美味しいものを愛しています。どんな日でも明日がほんの少し楽しみになる、そんな記事を発信していきます。