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モチベーション 新着記事 企業インタビュー

元エンジニア、次世代マンガ家の場所を創る(前田雄太:株式会社まんがたり)

株式会社まんがたりの代表、前田雄太さん。インタビューはzoomを利用しオンラインで行いました。

「好きなことを仕事にしたい」と思ったことはありますか?または「自分のやりたいことがわからない」と悩んだことはありますか?
今回インタビューした前田雄太さんは現在、『株式会社まんがたり』という会社を立ち上げ”次世代マンガ家の活躍する場所をつくる”ために日々奮闘しています。マンガが大好きで、日常的にマンガに触れていた前田さんですが、『まんがたり』を始める前はエンジニアとして働きながら自分探しにたくさん悩んだ過去がありました。そんな前田さんが自分らしい道のりを見つけるまでの奮闘と、これからのマンガ業界についてお話を聞いてみました。

やりたいこと探しのエンジニア時代

ー前田さんは『まんがたり』を始めるまで、どんなキャリアを積んでいらしたんですか?

前田
前田

僕は九州出身で、大学は九州工業大学に進学しました。
なんとなく、理系が得意だったので選んだんですけど、大学に入ってから「数学好きじゃないな、自分」と気付いてしまって(笑)
僕が進学した九州工業大学は地元では優秀な大学で、就職先のほとんどを推薦が占めていました。天邪鬼なところがある僕はそこでも「推薦を使わずにベンチャー企業を受けたい!」なんて思ったんです。
自分の力を試してみたいというか。何がやりたい、というのはわからなかったんですけど、むしろそれを見つけたいなと思って。

業界問わずに10社ほど受けたんですが、そのうちの1つ、株式会社ワークスアプリケーションズに就職します。

ーそれで上京されるわけですね。

前田
前田

はい。
ワークスアプリケーションズは会社説明会で、当時の代表の牧野さんのお話に感銘を受けて決めたんです。

「高度経済成長が終わり、大企業で働ければ人生安泰というのは難しくなった。ゼロからイチを生み出す問題解決能力スキルは、どこの会社でも必要とされる。うちの会社なら新卒でも、答えのない難しい仕事に挑戦できることで、そのスキルを伸ばせる。そして30歳になったら全員会社を辞めて、ぜひそのスキルを使って、社会課題を解決する起業をしてほしい。
この話を聞いても大企業が良いと思ったら、うちに来ないほうが良いだろう。ただ、選択肢があることを理解してほしい。」というようなお話をされていました。

牧野さんの強気な発言と、実際にここでなら自分のスキルアップができそうなところに惹かれました。やりたいことも見つかるだろうと。

ーそこでエンジニアとしてキャリアスタートしたんですよね。

前田
前田

そうです。会社に入ってから開発の技術を学び、業務系の基幹システムの開発などを扱っていました。8年ほどそこで経験を積みます。

ただ、就職当時は「全力で3年働いたら自分が何をやりたいか見える」と思っていたんですが、見えなかったんですよ。(苦笑)
「やりたいこと」って、なんとなくでは見つからないんだなと感じましたね。ちゃんと、見つける気で考えないと、自分が何をやりたいのかはわからない。

そこからは自分探しの旅のように…ワークスで働きながら、人に教えるのが好きだから=教師だ!と考えて通信制の大学で教職を学んだのですが、勉強が大変で挫折してしまったり。
モンゴルのNGOでプロボノスタッフもやりましたけど、やっぱり働きながらだとハードで続かなくて。
そんな日々を送りながら2017年末、31歳の時にワークスアプリケーションズを退職しました。

自分が「なんとかしたい」と思った。過酷な漫画家の世界

ーそれで次に目をつけたのが”マンガ”だったと。
そもそも前田さんとマンガとの出会いって?

前田
前田

僕は子どもの頃に読んだ『ドラゴンボール』ですかね。

その頃から今までずーっと、どんな時もマンガは日常に欠かせないものになっていて。

僕は人への興味や好奇心が強いタイプなんです。
会ったことない、見たことない世界にすごく惹かれる。マンガはそういう出会いを簡単にもたらしてくれるし、たくさんのことを教えてくれる。海外旅行も大好きなんですが、僕にとっては海外への一人旅と感覚が似ていますね。

ーなるほど。確かにマンガはいつでも気軽に異世界へトリップできますよね。
それで、マンガをビジネスにしようと思ったのは?

前田
前田

ちょうど会社を辞める半年前くらいに、漫画家の卵と出会う機会があったんです。
アシスタントとしてプロの先生のもとで原稿を手伝いながら、自分で出版社に持ち込んだ作品が受賞して担当さんがついたばかり、というような方でした。

マンガが大好きだった僕は、色々興味で話を聞くうちに、漫画家の世界のハードさをなんとかしたいと思うようになって・・・。

ー漫画家の厳しい世界について教えてください。

前田
前田

漫画家として成功してご飯を食べていける人っていうのはわずか3%程度と言われています。100人の社員がいる会社として考えると、社長と副社長+1人くらいしかご飯食べれてないってことになるんですよ。

ー会社として考えるとその厳しさがよくわかります。
そもそも漫画家さんってどんな風にお金を貰ったりお仕事しているんでしょうか?

前田
前田

人にもよりますが、ある週刊誌の漫画アシスタントさんの1日で考えると9時ぐらいから仕事を始めて21時とか22時くらいまで原稿を手伝います。その間、休憩は昼に15分、夜に30分ほど。これを週4日。漫画家の先生になればアシスタントが帰った後も原稿作業してるでしょうからもっと睡眠時間は削られていきます。週刊誌は毎週、締め切りがありますから実質休みはほぼ無いですよね。

原稿料は1ページいくら、という感じで決まります。
1ページ1万円で良い方でしょうか。1話18Pで連載した場合、月に72万円もらえるわけですが、アシスタントさんを4人雇って日給1万円払えば、週4日来てもらって人件費は月に64万になります。残った分で家賃・光熱費の支払い、道具代なんかを払えば自分の生活がいかにカツカツかは・・・

ーというか、赤字ですよね。

前田
前田

はい。

印税収入も連載が続いて単行本が売れてはじめて発生しますし、もちろん単行本出す前に連載が打ち切りになってしまう場合もあります。

アシスタント時代はマンガのスケジュールを優先していると深夜のコンビニバイトや日雇いくらいしか選択肢はありません。それで10年、漫画家としてデビューを夢見て頑張って、それでも叶わなくて、再就職しようにも30歳半ばで社会人スキルも無いとなると・・・という人もザラです。

ーうーん。ハードな世界ですね。漫画の世界に限った話ではないけど、華々しい成功の裏側にはかなり厳しい現実が必ずあって。

前田
前田

そういう現実を目の当たりにした時に、僕がなんとかしたいと思ったんです。

次世代マンガ家とは?

前田
前田

マンガは今の時代、なにも出版社からエンタメとして出版されるだけではなくて。
広告ツールとして最近はとても注目されています。

ー子ども向け通信教育の案内冊子とかに載ってるマンガが思い浮かびました。

前田
前田

そうですね。
興味喚起や営業の導入なんかにすごく効果的です。興味のないことでもマンガにしてあると見てもらいやすかったり。文章だと説明的になっちゃうところも、マンガにしてあることでその世界に入りやすかったりします。

今まではBtoCのサービスで広告マンガが多かったんですけど、『まんがたり』はBtoBやスタートアップ向けに広告マンガを手掛けさせたら日本一だと思います。

『まんがたり』は”次世代マンガ家”という言葉を掲げていて。
週刊誌や月刊紙で連載するだけがマンガではない。さっきもお話したように、厳しい世界に身を置いている漫画家さんのスキルの幅を広げていきたい。

漫画家の芸能プロダクションのような。
どうやったら「マンガを描くことに集中してもらえるか」それを大事にしながらサポートしているのが『まんがたり』です。

ー今『まんがたり』はどんな組織なんですか?

前田
前田

契約している漫画家は5人です。
クライアントの要望に合わせて、マンガ広告を描いてもらっています。

スタッフ側は僕以外、業務委託でディレクター2人、デザイナー1人、インターン生が1人。まだまだ駆け出しの組織なので、マンガ好きの会計士さんが時々ボランティアで手伝ってくれたりなど、ご縁で助けられていることも多いです。

これからの、まんがたり

ー今後の『まんがたり』の展望は?

前田
前田

海外展開もしていきたいですね。
マンガがこれだけの地位を築いているのはやはり日本だけ。
大人も真剣になってマンガを読むのは日本くらいです。
まだまだ世界の基準ではマンガは子どもかオタクのものという認識が一般的です。
ところが最近アジア、中国や韓国では結構日本に近い感覚でマンガが日常に浸透してきていて。
こうやってマンガを日本から、世界のスタンダードにしていきたい。『まんがたり』だけじゃなくて、マンガ業界全体で取り組んでいきたいです。


実際に、過去には海外からの案件も担当しました。

以前、アフリカのジャングルで開催するゴリラツアーの案件があって。ツアーに際しての注意事項とかをマンガで説明するんですけど。言語がわからなくてもイラストが入ることによって伝えられたりするので、観光ガイドの分野でもマンガの可能性を感じましたね。

ーこうやって、前田さんはマンガという夢中になれるものを見つけられたんですね。

前田
前田

そう。エンジニア、教師、NGOスタッフ・・・遠回りはたくさんしましたけど後悔はしてない。
『まんがたり』も個人的には「これかな?」と思ってはじめました。やってみて実際に、今もモチベーションが落ちずにずっと毎日楽しいです。
やってみて、自分のモチベーションが落ちなければ、それが現時点で一番やりたいことなんだ、って自問自答する方法で、「まずはやってみる」ということがおすすめです。

好きなことを転々としていてもいいんです。
いつか誰でも必ずモチベーションが落ちずに追いかけ続けられることが見つかるはずです。

「やりたいことを見つける」って、好きなものへの情熱もそうですが、自分の”今”に納得しているか?と常に問い続ける姿勢がすごく大事なのかもしれない。前田さんのお話を聞いていて改めてそう感じました。
これからの株式会社まんがたり、マンガの明るい未来に期待が膨らむインタビューになりました。

前田 雄太(まえだ・ゆうた)

マンガ家芸能プロダクション:株式まんがたりを起業。 マンガが好きすぎてキャリアと全然関係ない広告マンガ事業に挑戦。ぴったりのおすすめマンガを伝える「マンガソムリエ」も実施中。■マンガでよめる「創業のきっかけ」 https://note.com/mangatari_maeda/n/nee0887c78640

編集者

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sarii.m

ソウルウェアの広報サリーです。エス弁の記事企画、取材、ライティングなど。ミニマルな考え方やデザインを支持。好きなものはレモンサワーと動物と植物。

生き方のお弁当に、
たくさんの幸せを詰めよう

「お弁当」と聞いてあなたが想像するのはどんなものですか?

家庭によって、容れ物も中身も違うお弁当。
お母さんお父さん、おばあちゃんの手作り。
コンビニで買ったパンやおにぎり、
出来合いのお惣菜詰め合わせ。

その思い出は常に温かいものではなく、
人によっては悲しいものかもしれない。

すごく個人的で、多様。そして正解がないもの。それがお弁当です。

働くということ。

会社勤めの人
職人
命をかけて国や人を守る人
専業主婦(主夫)

給料や内容、楽しさ・やりがいだけでは測れないもの。
そしてやっぱり、
すごく個人的で正解がないところがお弁当と似ています。

友達のお弁当を覗いた時やおかずを交換した時の新しい発見も楽しい。 これは仕事上のアイデアや意見交換とも通じていますね。

みんなで食べるのか、一人で食べるのか。
そのロケーションは?

そういうお弁当の幅広さ・奥深さと
人それぞれ違う「働くこと」
「幸せの捉え方」の気持ちを重ねて、
多種多様な表現ができるメディア、それがエス弁です。

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