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故郷でスタートアップ事業の成功を目標に。(Ipa Saripah: Domestic helper)

インドネシアからシンガポールへ働きに来ているIpah Saripahさん(40歳)

シンガポールの働き方を語る上で外せない存在、それがDomestic helpersです。彼女達は東南アジア諸国からシンガポールへ、故郷の家族を支える為に出稼ぎに来ています。
主にシンガポールの共働き家庭に住み込みで、家事全般・育児・介護のヘルプをします。
現在、シンガポールでDomestic helperとして働くイパさんに、故郷を離れて過ごす今は幸せ?将来はどんな夢があるの?率直に気になることを聞いてみました。

イパさんがシンガポールへ渡るまで

−なぜ出稼ぎ先にシンガポールを選んだのでしょうか?

イパ
イパ

学生時代から、シンガポールがいいところだと聞いていたからです。
身近に実際に行った人がいたわけでもなかったが、給与水準も他の国へ出稼ぎに行くより高いし、私には先進国への憧れが非常にありました。

−実際にシンガポールへ来たのは?

イパ
イパ

26歳の時です。
最初に中国系シンガポーリアン(華人)の家庭へ雇用されてそこで11年、次にオーストラリア人の家庭で3年勤めました。今はまた、最初に雇用された華人の雇用主の家庭でヘルパーをしています。
シンガポールに来てからは14年になりますね。

−今はどんな風な1日を過ごしているんですか?

イパ
イパ

朝起きて、自分の身支度を整えた後はキッチンに向かいます。置いてある洗い物から片付けます。その後ハウスクリーニングをして、洗濯をし、犬の散歩をします。
今のお家は、息子さんが兵役に行っているのでお母さんの一人暮らしなんです。

−私が事前にインターネットなどで調べた記事によると、住み込みのメイドに与えられる部屋は小さなスペースである、などという情報もありました。実際はどうなんでしょうか?

イパ
イパ

私はお母さんと同じ寝室で過ごしていますよ!ベッドも自分の分が与えられています。
別の家庭にヘルパーで入った時も同様に、自分の部屋がちゃんと与えられました。

友人(同じくDomestic helperとして働きに来ている仲間)に聞くと、私のように1部屋貰えている人や、コンパクトな部屋が与えられている人もいますが、ひどい扱いを受けたような話は聞いたことがないですね。
プライベートな空間は与えてもらっている人が多いと思います。

万が一、不当な扱いを受けた場合はきちんとFASTのような団体が助けてくれるはずです。

将来は故郷での起業が目標!

−家族と離れて暮らしていますが、モチベーションはどこから来ていますか?

イパ
イパ

やはりお金の為ですね。
家族をサポートしたいし、実際にここで働いていればそれが叶います。
自分の為にも貯金がしたいんです。故郷に帰ってビジネスを始めようと思っているんです。
だから、Domestic helperとして働くのは今の雇用主との契約で最後にしようと思っているんです。

−いいですね!どんなビジネスか聞かせていただけますか?

イパ
イパ

私のホームタウンはインドネシアの田舎で、都心まで出ないと電化製品やバイクが買えないんです。
だから気軽に村のみんなが行ける距離に販売店を開きたいのです。シティまで出なくても村で電化製品を供給できるように。

−早く実現するといいですね!

イパさんは、故郷を離れてホームシックになることはありますか?
それとも、何でも手に入るシンガポールの方が暮らしやすいと思いますか?

イパ
イパ

たまにホームシックになるけど、今は手軽に電話やSNSで家族や友達と連絡が取れるようになったので、最近は寂しさも薄らいでいます。
シンガポールの方が快適かもしれませんね(笑)

FASTを通じて(スリランカ、フィリピン、インドなど多国籍な)友達もたくさんできたし、シンガポール自体とても暮らしやすい国だと思います。

-お休みの日(日曜日)はどこで過ごしているんですか?

イパ
イパ

大体FASTのスペースにいます。
アクティビティもあるし、フィットネスやカラオケなどいろんな活動ができるから。仲間といれば何をしていても楽しく、ずっとHAPPYです。
街で買い物したり自分にお金をかけることは2ヶ月に1回くらいありますが、時々です。

FASTでイパさんらDomestic helperが習い作ったお花や手芸作品たち。

リフレッシュにもなるし、働いている家庭での生花や手芸のスキルにもなる。


-イパさんの故郷(インドネシア)について教えてください。
女性は出稼ぎにいっていますが、男性たちはどうしているのでしょうか?

イパ
イパ

インドネシアの男性は、造船業など船にまつわる仕事が盛んなので、船のエンジニアなどを生業にしている人は同じようにシンガポールへ出てくる人がいます。

インドネシアの中でシティに出て仕事をする人と、村に残り子どもの面倒を見る人もいます。私の村の男性は半々くらいですね。

女性が出稼ぎで留守にしている家族の面倒は村に残った男性か、義母が見たりしています。

−同じくシンガポールへ出稼ぎしていたり、故郷で家族の面倒を見たりしているんですね。

最後に、聞かせてください。
イパさんは今の暮らしに満足していますか?

イパ
イパ

はい、全てに満足しています。私はとても幸せです!

イパさんはインタビューに答えてくれたこの日、雇用主から外出許可を得て協力をしてくださいました。休暇以外の外出になるからです。幸い、イパさんの雇用主の方は非常に親切な方で快く許可を出してくれたようですが、あくまで雇用主に拠るということは、忘れてはいけない部分だと感じます。

一方でイパさんはインタビュー中もずっと笑顔で、特にお休みの日にFASTの提供するスペースで仲間たちと過ごす時間について話す様子は、本当に楽しそうでした。
イパさんが故郷に戻って自分の夢を叶えることを心から応援しています!

サリー
サリー

FASTのスタッフ、ウィリアムさんがシンガポールのDomestic helperの受け入れ体制やこれまでの沿革についてお話してくれている記事はコチラ
Domestic helpersとシンガポーリアンの共生を見守る(William chew:FAST)

編集者

サリー

サリー

ソウルウェアの広報サリーです。エス弁の記事企画、取材、ライティングなど。ミニマルな考え方やデザインを支持。好きなものはレモンサワーと動物と植物。

生き方のお弁当に、
たくさんの幸せを詰めよう

「お弁当」と聞いてあなたが想像するのはどんなものですか?

家庭によって、容れ物も中身も違うお弁当。
お母さんお父さん、おばあちゃんの手作り。
コンビニで買ったパンやおにぎり、
出来合いのお惣菜詰め合わせ。

その思い出は常に温かいものではなく、
人によっては悲しいものかもしれない。

すごく個人的で、多様。そして正解がないもの。それがお弁当です。

働くということ。

会社勤めの人
職人
命をかけて国や人を守る人
専業主婦(主夫)

給料や内容、楽しさ・やりがいだけでは測れないもの。
そしてやっぱり、
すごく個人的で正解がないところがお弁当と似ています。

友達のお弁当を覗いた時やおかずを交換した時の新しい発見も楽しい。 これは仕事上のアイデアや意見交換とも通じていますね。

みんなで食べるのか、一人で食べるのか。
そのロケーションは?

そういうお弁当の幅広さ・奥深さと
人それぞれ違う「働くこと」
「幸せの捉え方」の気持ちを重ねて、
多種多様な表現ができるメディア、それがエス弁です。

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